工事日誌
暖房を使い始める前に知っておきたいこと——夏は小屋裏エアコン、冬は床下エアコン。季節の「切り替え」と準備
おはようございます。
11月に入り、朝晩の冷え込みを感じる日が増えてきました。
「そろそろ暖房をつけようかな」
と考え始める時期ではないでしょうか。
私たちの住まいでは、
夏は、小屋裏に設置したエアコン1台で家全体を冷やす。
冬は、床下に設置したエアコン1台で家全体を暖める。
という、季節によって使うエアコンを切り替える方法を採用しています。
冷たい空気は上から下へ、暖かい空気は下から上へ。
空気の性質に合わせて、冷房は家の一番上から、暖房は家の一番下から行う、という考え方です。
この時期は、ちょうど夏の小屋裏エアコンから冬の床下エアコンへ、住まいの「衣替え」をするタイミングです。
今回は、暖房を使い始める前に知っておきたいことを、この切り替えの手順も含めてまとめてみたいと思います。
夏に働いた小屋裏エアコンを「お休み」させる
まずは、夏の間ずっと働いてくれた小屋裏エアコンです。
冷房運転を続けていたエアコンの内部には、湿気が残っていることがあります。
そのままシーズンオフに入ると、カビやにおいの原因になりかねません。
・機種に「内部クリーン」などの乾燥機能があれば運転しておく
・フィルターのほこりを掃除しておく
この2つをしておくだけで、来年の夏を気持ちよく迎えることができます。
床下エアコンは、春から半年以上のお休み明け
一方、床下エアコンは、春に暖房を止めてから半年以上動いていません。
本格的に寒くなってから、
「暖房をつけたら動かない」
「変な音やにおいがする」
となると、修理や交換に時間がかかることがあります。
寒くなってからは修理の依頼が集中し、すぐに来てもらえないことも珍しくありません。
まだ暖かい日のうちに、一度暖房運転を試しておくことをおすすめします。
あわせて、
・床下エアコンのフィルター掃除
・室外機のまわりに物を置いていないか、落ち葉などで吹出口がふさがれていないか
も確認しておきましょう。
冬の暖房では、室外機が外の空気から熱を集めています。
室外機のまわりがふさがれていると、性能が十分に発揮されません。
床の吹出口(ガラリ)をふさがない
床下エアコンならではの注意点が、床に設けた吹出口(ガラリ)です。
床下エアコンは、床下の空間を暖め、その暖かい空気を床のガラリから各部屋へ送り出しています。
ところが、
・ガラリの上にラグやマットを敷いている
・ガラリの上に家具や荷物を置いている
と、暖かい空気がうまく部屋に出てこられません。
夏の間に模様替えをした方は、特に注意してください。
また、ガラリには夏の間にほこりがたまっていることがあります。
暖房を始める前に、掃除機でほこりを吸い取っておくと、暖房を始めたときのほこりっぽさやにおいも防げます。

換気システムのフィルターも確認を
高気密・高断熱住宅では、24時間換気システムが常に動いています。
給気口や換気システムのフィルターが汚れていると、計画どおりの換気量が確保できなくなります。
特に第一種換気(熱交換型)の場合、フィルターの目詰まりは換気量の低下だけでなく、熱交換の効率にも影響します。
暖房シーズンの前に、一度点検・掃除をしておくと安心です。
床下エアコンは「早めに、弱めに、つけっぱなし」
床下エアコンの使い方で大切なのは、
「寒くなってからつける」
のではなく、
「寒くなる前から、穏やかに運転し続ける」
ということです。
床下エアコンは、エアコンの温風を直接部屋に吹き出すのではなく、床下の空間と床そのものを暖め、その暖かさで家全体を下から包み込むように暖めます。
そのため、壁掛けエアコンのように、スイッチを入れてすぐに部屋が暖まるわけではありません。
一度暖まってしまえば、家全体が冷めにくくなり、穏やかな暖かさが続きます。
反対に、つけたり消したりを繰り返すと、床下や床が冷えてしまい、暖まるまでにまた時間がかかってしまいます。
断熱・気密性能の高い家では、弱めの運転で連続して暖める方が室温が安定し、結果的に光熱費も抑えやすくなります。
以前のブログ「暖房を我慢しない方が、実は省エネになる理由」でも、このあたりのお話をしました。
また、床下から上がってきた暖かい空気が家全体をめぐるよう、できるだけ室内のドアを開けておくことも、家中の温度をそろえるうえで効果的です。
足元から暖まる=「表面温度」が上がる
暖房の設定温度を上げても、なんとなく寒い。
そんな経験はないでしょうか。
人が感じる暖かさは、空気の温度だけでなく、床や壁、窓の表面温度にも大きく左右されます。
室温が22℃あっても、窓や床が冷たければ、体からは熱が奪われ、寒く感じます。
床下エアコンは、床そのものを暖めるため、足元が冷えにくく、
「室温の数字以上に暖かく感じる」
という特徴があります。
断熱性能が高く、壁や窓の表面温度も室温に近い家では、20℃前後でも十分に暖かく感じられます。
この「表面温度」の話は、冬のシリーズの中で改めて詳しくお話しする予定です。
暖房を始めると「乾燥」も始まる
暖房を使い始めると、室内の空気は乾燥しやすくなります。
正確に言うと、冬の外気はもともと水分量が少なく、その空気を暖めることで相対湿度が下がる、という仕組みです。
加湿器を準備する。
湿度計を置いておく。
洗濯物を室内に干す。
など、冬の湿度対策も暖房と一緒に準備しておくと安心です。
冬の湿度については、12月のブログでもう少し詳しくお話しします。
窓まわりの準備も忘れずに
暖房を使い始めると、窓まわりで結露が起こりやすくなります。
・窓の下枠やサッシにほこりやカビがないか
・カーテンが窓に密着しすぎていないか
・家具を外壁や窓に寄せすぎていないか
といった点も確認しておきましょう。
結露が毎朝のように起こる場合は、窓の断熱性能や室内の湿度、換気の状態を見直すサインかもしれません。
まとめ——冬の快適さは、季節の「切り替え」から
暖房を使い始める前にできることをまとめると、
・小屋裏エアコンの内部乾燥とフィルター掃除(夏の片付け)
・床下エアコンの試運転とフィルター掃除
・室外機まわりの確認
・床のガラリの上に物を置かない、ガラリのほこりを取る
・換気システムのフィルター掃除
・床下エアコンは「早めに、弱めに、つけっぱなし」
・湿度計・加湿の準備
・窓まわりの確認
どれも難しいことではありません。
しかし、こうした準備をしておくことで、冬の暮らしは確実に快適になります。
夏は上から冷やし、冬は下から暖める。
季節に合わせてエアコンを切り替えることで、家全体を少ないエネルギーで快適に保つことができます。
これから冬に向けて、住まいの「暖かさ」についてシリーズでお話ししていきます。
次回は、
「“暖かい家”と“寒くない家”は少し違う」
というテーマで、冬の快適性の本質について考えてみたいと思います。