工事日誌
住宅における耐震等級3について
おはようございます。
これまで「断熱」や「窓」といった住まいの環境性能に関するテーマをお伝えしてきましたが、今回は少し視点を変えて 「耐震性能」 についてお話ししたいと思います。特に、住宅の安全性を判断するうえで重要な指標である 「耐震等級3」 について詳しくご紹介します。
- 耐震等級とは?
「耐震等級」とは、住宅の地震に対する強さを数値化した基準です。これは 住宅性能表示制度 という国の制度で定められており、建物がどの程度の地震に耐えられるかを等級で示しています。
耐震等級は1~3までの3段階に分かれています。
- 等級1:建築基準法で定められた最低限の耐震性能。数十年に一度発生する大地震(震度6強~7程度)で「倒壊・崩壊しない」レベル。
- 等級2:等級1の1.25倍の耐震性能。
- 等級3:等級1の1.5倍の耐震性能。
- なぜ耐震等級3が必要なのか
🔹 日本は地震大国
ご存じのとおり、日本は世界でも有数の地震大国です。マグニチュード6以上の地震の約2割が日本で発生していると言われています。静岡県も「東海地震」や「南海トラフ地震」が懸念されており、先日も新たな研究を踏まえ「今後30年以内に60~90%程度の確率で発生する」と発表されました。前回の発表より少し幅が広がったように思いますが高い確率で地震が発生することには変わりありません。
🔹 命を守るだけでは不十分
建築基準法で求められるのは「1度の地震で倒壊しないこと」です。確かに命を守るためには最低限必要ですが、それだけでは不十分です。
地震後も 安心して住み続けられるかどうか が重要なのです。もし大きな損傷を受けてしまえば、たとえ倒壊は免れても修繕費が多額にかかり、長期間住めなくなるリスクがあります。
🔹 家族の暮らしを守る
大地震の直後は避難所が混雑し、プライバシーや生活環境に不安を抱える方も多くなります。特に小さなお子さまや高齢のご家族がいる場合、「自宅で安心して暮らし続けられるかどうか」が大きな意味を持ちます。耐震等級3を確保しておけば、災害後仮に停電や断水したとしても自宅での生活を続けられる可能性が高まります。
- 耐震等級3のメリット
耐震等級3には、以下のような具体的なメリットがあります。
Ⅰ命を守る安心感
最も大きなメリットは、やはり「家族の命を守れる可能性が高い」という点です。災害時に安全な場所が自宅であるというのは、何よりの安心につながります。
Ⅱ地震後も住み続けられる可能性が高い
倒壊しなくても大きな被害を受ければ生活は成り立ちません。耐震等級3なら、損傷を最小限に抑え、修繕や建て替えのリスクを減らすことができます。
Ⅲ資産価値が高まる
中古住宅市場でも「耐震等級3」は信頼性が高く、将来売却する際にも有利になります。また、住宅ローン減税や地震保険の割引といった優遇を受けられる場合があります。
Ⅳ家族の健康や生活の安定につながる
避難生活ではストレスや体調不良が起きやすいですが、耐震性能の高い家に住むことで、災害後も普段通りの暮らしを続けられる可能性が高まります。
- 耐震等級3を実現するためのポイント
🔹 構造計算(許容応力度計算)の実施
耐震等級3を取得するには、単に壁を増やすだけでは不十分です。建物全体のバランスを考えた 構造計算 が必要です。特に木造住宅では「許容応力度計算」を行い、地震力・風圧力に対する安全性を数値で確認します。
🔹 バランスの良い間取り
耐震性は「壁の量」だけでなく「配置のバランス」が重要です。例えば、大きな吹き抜けや極端に窓が多い間取りは、耐震性を下げる要因になります。間取りの自由度を保ちながらも、耐震性能を確保する設計が求められます。
🔹 品質の高い施工
設計だけでなく、施工精度も大切です。金物の取り付けや構造材の精度管理がしっかりしていなければ、図面上の性能を発揮できません。当社では現場での施工精度にこだわり、耐震性能を確実に実現しています。
- 当社の取り組み
当社では、標準仕様として 耐震等級3の構造設計 を行っています。
具体的には:
- 全棟で許容応力度計算を実施
木造2階建てでも構造計算を行い、数値で安全性を確認します。 - バランスの取れたプランニング
ご要望を踏まえつつ、壁量・配置のバランスを考慮し、デザインと耐震性を両立させています。 - 耐震等級3+高気密高断熱の両立
単に強いだけでなく、快適で省エネな住まいをご提案しています。災害時にも室内環境が安定しやすいため、停電などが起きても安心です。
- まとめ
耐震等級3は「地震が来ても倒壊しない家」という最低基準を超え、災害後も安心して住み続けられる家 を実現するための基準です。
- 命を守る
- 災害後の生活を守る
- 資産価値を守る
この3つを実現できるのが「耐震等級3」です。
家づくりでは、つい設備やデザインに目が行きがちですが、「家族の命と暮らしを守る」という根本的な目的を考えると、耐震性能にこだわることは欠かせません。当社では、標準仕様として耐震等級3を確保しながら、断熱性能や窓の性能とのトータルバランスを考えた住まいづくりをご提案しています。
地震が多い日本だからこそ、「安心して住み続けられる家」を選んでいただきたいと思います。