こんにちは。
今回は、これから冬に向けて特に気になる「湿度」についてお話ししたいと思います。

家づくりでは、断熱性能や気密性能の話が先に出てきますが、
冬の快適性は室温だけでなく“湿度”とのバランスで決まります。
実は、どれだけ断熱・気密を高めた住宅でも、冬に乾燥しやすい理由があるのです。

今日はそのメカニズムと、実際にどう対策していくとより快適に過ごせるのかを、専門的すぎない視点でまとめていきます。

1.なぜ冬は家の中が乾燥しやすいのか？

まず知っておきたいのは、
乾燥は高気密住宅の“欠点”ではなく、冬の外気条件によるものということです。

冬の外気は、気温が低いため「絶対湿度が低い」状態です。
つまり、外の空気そのものが水分をほとんど含んでいません。

空気は温度によって空気中に含められる水分量が決まっています。温度が高ければ高いほど含められる水分量は多くなります。逆に当たり前ですが温度が低くなると含められる水分量は少なくなります。そうなると冬は温度が低い空気なので空気中に含まれる水分量は必然と少なくなります。

その外気を換気によって室内に取り込むと、

・暖房で空気が温まり(空気中に含まれる水分量は同じ)

・相対湿度が急激に下がり

・結果として「乾燥」を感じる

という流れになります。

つまり、
「性能が高い家だから乾燥する」のではなく、
「冬はそもそも空気が乾燥している」ということなんですね。

2.高断熱・高気密住宅が“実は乾燥しにくい”理由

ここが誤解しやすいポイントなのですが、
性能が高い家は乾燥しやすいように見えて、実は乾燥しにくい構造です。

なぜなら、

・外気との隙間風がほぼない（＝外の乾燥した空気が勝手に入り込まない）

・第一種換気で計画的にゆるやかに外気を取り込む

・室内の水蒸気が逃げにくい

ためです。

C値0.5ｃ㎡/㎡の住宅のように、
気密がしっかり取れている家では、
換気以外で湿気が逃げません。

実際、冬でも

・洗濯物の水分

・お風呂の湯気

・調理の蒸気(レンジフードからは逃げますが)

・家族の呼気

などの生活発生水蒸気がしっかり活かされます。

3.理想的な湿度は50〜60％

人が快適だと感じる湿度は、

・40〜60％（冬は50％程度が現実的）です。

40％を下回ってくると

・のどがイガイガする

・肌が乾燥する

・静電気が発生しやすい

・インフルエンザなどのウイルスが活性化しやすい

といった不調につながります。

湿度は快適性だけでなく、健康にも直結する要素なのです。

4.冬の乾燥対策——“性能に合ったやり方”が必要

高断熱・高気密住宅では、従来の家とは少し異なる湿度管理が必要です。
代表的な対策をいくつか紹介します。

① 加湿器を適切に使う

最も確実な方法です。
ただし、ここでポイントが1つ。

高気密住宅では、加湿器は“弱め〜中”で十分。

理由は、機械換気が24時間一定量動いているため、
加湿の“効き”が良いからです。

床下エアコンや小屋裏エアコンで家全体を空調している設計では、
一カ所の加湿でも家全体に行き渡りやすいのが特徴です。

② 洗濯物の室内干し

洗濯物の室内干しを行うと自然な湿度補給になります。

③ お風呂の湿気を室内側に開放する

入浴後、外に向かって換気をすると浴室内の湿気は外に出てしまいます。
入浴後、お風呂の扉を開けて置けば浴室内の湿気を室内に取り込むことができます。

5.“乾燥しにくい家”をつくる設計とは？

高断熱・高気密住宅で大切なのは、湿度を「家の性能で守る」ことです。
そのために重要なのは、

・気密（C値）

・熱交換換気(第一種換気の機種によっては湿度の交換も行うもの有)

・窓性能（特に冬は結露しないことが大事）

・温度ムラの少ない空調方法

です。

そしてもう一つ重要なポイントが窓の性能です。
先程も少し触れていますが窓の性能が低いと室内で加湿した時窓で結露します。特に北向きの窓には注意が必要です。窓の下枠で結露しないように樹脂サッシがお勧めです。

6.まとめ——冬の快適性は“温度と湿度のセット”で決まる

冬の室温はもちろん大切ですが、
本当に快適な家は「湿度が保たれている家」です。

・喉が痛くならない

・肌がカサつかない

・暖房の風を感じない

・空気がピリッとしない

こうした“冬のストレス”は湿度管理でほとんど解決できます。

高断熱・高気密住宅は、
温度だけでなく湿度も安定させやすく、
季節の体調変化を最小限に抑えられる住まいです。

これから冬本番を迎えるにあたり、
湿度のことも少し気にしてみてください。
暮らしの快適さが大きく変わるはずです。