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床の仕上げで変わる暮らしの質——素材ごとの特徴と選び方

おはようございます。
今回は家づくりの中でも毎日“肌で感じる”部分、床の仕上げについてお話しします。

床は、見た目のデザインだけでなく、足触り、温度、音、清掃性など、暮らしの快適さを左右する大切な要素です。
同じ間取りでも床材が変わるだけで、空間の印象も居心地もまったく違うものになります。

代表的な床仕上げとして、フローリング・長尺シート(クッションフロア)・フロアタイル・畳・磁器タイルがあります。
今回はその中でも特に使用頻度の高いフローリングを中心に、各素材の特徴と使い分けを紹介します。
皆様の床材の選択の参考になればと思います。

1.フローリング——木の表情と歩行感が生む「居心地」

木造住宅の床といえば、やはりフローリング。
木の香りやぬくもり、質感は人工素材にはない魅力があります。
フローリングは大きく分けて、「無垢フローリング」「複合フローリング」の2種類があります。

【1】無垢フローリング——本物の木が呼吸する床材

一本の木から切り出した天然素材。
木の香り、質感、経年変化をそのまま感じることができます。
湿度によって膨張・収縮するため、施工時の隙間調整や空調管理も重要ですが、
自然素材ならではの風合いは、他では得られない価値があります。

樹種の違い:広葉樹と針葉樹

種類   代表的な樹種            特徴

広葉樹  オーク(ナラ)、ウォールナットなど  密度が高く硬い。傷が付きにくいい、落ち着いた質感。

針葉樹  スギ、ヒノキ、パインなど      柔らかく、足触りが温かい。香りが良く、素足で過ごす空間に最適。

広葉樹は“家具のような上質さ”、針葉樹は“住まいのやさしさ”。
同じ木でも、樹種選びが空間の性格を決めるといっても過言ではありません。

・オイル仕上げ:木の質感をそのまま残し、経年変化を楽しめる。
・ウレタン塗装:汚れや傷に強く、メンテナンスが楽。
ただし、ウレタン塗装をしてしまうと無垢材の良さを消してしまう。

無垢材のまとめ

・メリット:肌触りがやわらかく温かい/経年で味わいが出る/調湿効果がある。
・デメリット:価格が高め(広葉樹)/伸縮による隙や反りが出ることがある(針葉樹)。


施工例 リビング(屋久島地杉無垢フローリング) 天井にも屋久島地杉のフローリング材を張ってあります。

【2】複合フローリング——安定性とデザイン性を両立

複合フローリング(合板フローリング)は、合板をベースに表面を化粧材で仕上げたタイプ。
木の伸縮が少なく、寸法安定性・施工性・コストのバランスが優れています。

突板フローリング(天然木突板仕上げ)

表面に0.3〜0.6mmほどの天然木突板を貼ったタイプ。
見た目は無垢に近く、木目の自然な表情を感じられます。

・メリット:反りや割れが少なく、天然木の質感を維持できる。
・デメリット:仕上部分の厚みが薄いため再研磨は不可。

シートフローリング(化粧シート仕上げ)

表面を樹脂フィルムやオレフィンシートで仕上げたタイプ。
各メーカーが開発を進め、木目や凹凸までリアルに再現されています。

これらの「シート系フローリング」は、
傷や汚れ、水、日焼けに強く、色あせが少ないのが特徴です。

近年はマット仕上げやエンボス加工が進化し、木の質感を忠実に再現。
ペットや小さな子どものいる家庭、賃貸住宅などでも人気です。

複合フローリングまとめ

・メリット:安定性が高くメンテナンスが容易/コストパフォーマンスが良い。
・デメリット:天然木のような質感・香りはない。

2.長尺シート・クッションフロア——機能性とデザイン性の両立

長尺シートやクッションフロア(CFシート)は、塩ビ系の床材でありながら、
近年はデザイン性や質感が大きく向上しています。
施工方法や用途がやや異なるため、ここでは違いを整理します。

種類       特徴                            主な使用場所

長尺シート    厚さ2〜3mmほど。継ぎ目が少なく耐水性が高い。        洗面・脱衣室、トイレ、店舗、病院、事務所など

クッションフロア 厚さ1.8〜2.3mmほど。内部に発泡層があり柔らかく、住宅向け。 キッチン、脱衣室、トイレなど

どちらも耐水性と清掃性に優れていますが、
長尺シートは業務用の耐久性、クッションフロアは住宅用の快適性という違いがあります。

・メリット:水や汚れに強く、メンテナンスが容易。
・デメリット:重量物で凹みやすく、熱に弱い。

木目調・石目調・モルタル調などの意匠が多く、
フローリングの代替としての住宅用途も増えています。
床暖房対応や防滑タイプなど、機能バリエーションも豊富です。


施工例 脱衣室(長尺シート)

3.フロアタイル——リアルな質感と高耐久性

フロアタイルは硬質塩ビタイルで、木目や石目をリアルに再現するタイプ。
厚みは約3mmで、部分張替えが容易です。

・メリット:デザインが豊富で、耐久性・耐水性に優れる。タイルに比べて安価。
・デメリット:本物のタイルの質感はない。

住宅では洗面所やトイレなどの水廻りに最適。
「店舗のようなデザイン性とメンテナンス性を両立したい」場合におすすめです。

4.畳——日本らしい安らぎを残す床

は日本の伝統的な床仕上げで、イ草の香りと柔らかい足触りが特徴です。
近年ではリビングの一角に小上がり畳を設けるケースも増えています。

・メリット:調湿性・断熱性・吸音性に優れる。
・デメリット:湿気や日焼けに弱く、定期的な交換が必要。

樹脂製や和紙製のカラー畳など、現代的なタイプも登場しており、
カビにくく色褪せしにくい新素材畳もあります。


施工例 畳(ヘリ無し畳 イ草熊本産)

5.磁器タイル——重厚感と耐久性を備えた仕上げ

磁器タイルは高温で焼き締めた非常に硬い素材で、
玄関、キッチン、テラスなどに多く使われます。

・メリット:耐水・耐汚・耐傷性に優れる/高級感がある。
・デメリット:冬は冷たく、施工コストが高い。

最近は床暖房対応のタイルや大判サイズも増え、
住宅のリビング床に使うケースもあります。


施工例 玄関土間(磁器タイル 大判タイル)

6.空間別おすすめ床材一覧

空間           おすすめ素材         特徴

リビング・寝室      無垢フローリング       温かみ、自然素材の質感

洗面・トイレ・キッチン  フロアタイル         デザイン性と耐久性

             長尺シート・クッションフロア 耐水・耐汚・掃除のしやすさ

和室・小上がり      畳              調湿とやすらぎ

玄関土間・ポーチ     磁器タイル          耐久性・耐水性

個人的にはリビングや寝室など、長時間過ごす空間には無垢材のフローリングがおすすめです。
特に杉材は、柔らかく傷つきやすいというデメリットはありますが、それ以上に、木の香り・肌触り・温もりといった魅力が大きく、毎日の暮らしの中で自然素材ならではの心地よさを感じることができます。

7.まとめ——足元から“暮らしの質”をデザインする

床は、家の中で最も長く触れる素材です。
素材ごとに温もり、質感、音、メンテナンス性が異なり、
「どんな暮らしをしたいか」で選ぶべき素材も変わります。

奏建築工房では、これらの素材を“仕上げ材”ではなく、
「暮らしの感触をつくる要素」として考えています。

空間の用途・気候・使い方を踏まえ、
足元から快適をデザインする家づくりを心掛けています。

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